日銀の長期国債保有の観点から「超過準備預金付利」の意味
「銀行券ルール」日銀の長期国債の保有残高を、世の中に出回っているお札=“発行銀行券”の発行残高の枠内に収めるという日銀内の取り決めがあります。その理由の一つに、日銀の長期国債保有残高の大幅増加は、将来金融引き締めに転じたときに、日銀は市場で国債を大量に売却せざるを得ず、長期金利が跳ね上がるおそれがあります。
日銀が金融機関から長期国債を買い取る一方で、それらの金融機関は円資金を日銀から受け取ります。市中に出回る円資金が増える訳ですから、金融市場の市中金利は低下傾向になります。市中に円資金が増えた分だけ銀行は貸出のできる相手を探しますが、資金需要がなければ再び日銀に必要額を預けなければならない準備預金の超過分として帰ってきます。資金の借り手がいないためだぶついている部分でもあります。このお金の事を超過準備預金といいます。2008年12月に日銀はこの超過準備預金に利息付利することを決定し、現在に至っています。これを補完当座預金制度といいます。
これは、市中に余ったお金を吸収する=資金調節をする手法を持つこと=市場の最低金利を確保することができ、長期国債を売却せずに金融調節を行う手段を持つことになりました。これにより日銀が発行銀行券残高=銀行券ルールを越えて長期国債を保有しても金融調節に際して長期債の売却を強いられることはないと言えますので、ある意味「銀行券ルール」の重要性は低下していると言えるでしょう。一方でこの“超過準備預金付利=補完当座預金金利”を引き下げない限り、レポ(現金担保付債券貸借取引)GCレートや短期国債利回りは0.1%まで低下した後、その水準で張り付くこととなると思われます。
「銀行券ルール」を維持するのも大切ですが、日銀が補完当座預金金利を引き下げるかどうかも新たな政策課題なるか注目しておきましょう。
中国の外貨準備高急増、人民元売り介入か
9月13日、中国人民銀行(中央銀行)が9月末における四半期ベースの外貨準備高を発表した。外貨準備高は2兆6482億ドルとなり、6月末に比べ1940億ドル急増したことになる。この背景は何なのかということだが、欧米を中心とした主要先進国の人民元の切り上げ圧力が強まる中、人民元の上昇を当て込んだ機関投資家の元買いが流入したらしい。
中国人民銀行はその人民元高圧力を抑えようと元売り・外貨買い介入を繰り返したことによると見られている。中国人民銀行は外貨準備高を四半期に1度のペースで公表する。外貨準備高は9月単月の増加額も初めて1000億ドルを超えて1005億ドルに達し、今回の四半期ベースでも過去最高を記録している。本来中国の為替制度では、原則として貿易など経常取引を通じて中国国内に入ってきた外貨しか人民元に変えられない。その割には、中国の9月貿易収支では168億8000万ドルと金額が合わないことから、大量の投機資金が流入したとして、中国人民銀行は介入を増加させ人民元の急上昇を抑え込んでいたと思われる。
一説には、人民元の対ドル相場の上昇は、欧米の圧力をかわす狙いで元相場を高めに誘導したとの噂もあるが、莫大な投機資金の流入で人民元売り介入しても元の上昇を抑えきれなかったとの見方が有力である。やはり介入での為替操作には無理があると改めて理解した。
今後の見通し
今週もドル円相場では一時1995年4月以来となる1ドル=80円89銭まで下落して円高が進んだ。世界的に見るとドル売りが止まらないといった感じである。これまでのドル売り圧力の背景には、やはり米連邦公開市場委員会(FOMC)会議にて追加金融緩和への期待である。次回開催は11月2〜3日であるが、その前に前回9月21日に開催した米FOMCの議事要旨が公表された。
追加金融緩和についての内容は、賛否両論あるが「まもなく」や「近い将来」などの表現を使用し、これまでの「景気悪化を追加緩和の条件」としてきた従来の立場を修正したことなどからみて、為替市場の金融緩和に対する織り込み度の高まりがドル売りを進めている。資源国通貨の豪ドルは対ドルで、金先物価格が過去最高値を更新するなどの買い材料もプラスに反応し、1982年半ば以来となる高値0.9991ドルとパリティ目前まで迫っている。ただ、米30年債入札が不調に終わり米長期金利は上昇するとの見方や、日本でも菅首相が「どうしてもという場合は断固たる措置をとる」「為替の急激な変動は好ましくない」と述べたことで本邦当局による円売り介入への警戒感の高まりで、辛うじて81円台をキープしている。
週末は重要な米経済指標やバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を控え、内容を見極めるまでは調整が続くと思われるが、内容次第では80円台を割り込む可能性が大いにありえる。来週も「ドル売り優勢」の一言に尽きる。